東京友禅の着物は高く売れるって本当?買取相場と高く売るポイントを解説
2018年9月19日
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東京友禅は、江戸時代中期頃に町人の町で発達したこともあり、町人の暮らしぶりが描かれた図柄が多く「江戸友禅」とも呼ばれている、三大友禅の1つです。
関東地方に住んでいる人の場合、京友禅や加賀友禅ではなく、この東京友禅を持っている人も多いと思います。
その東京友禅を持っている人のなかには、着ないしかさばるから売りたいと思っている人もいますよね。
でも、どこで売っていいかわからない、他の友禅より比較的地味な東京友禅を売っても、高く買取してもらえないと思っている人もいるのでは?
そこでこのページでは、東京友禅とはどんな特徴の友禅で、高く買取してもらうポイントはあるか、買取相場はどれくらいかなどを詳しく紹介したいと思います。
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東京友禅の着物の買取相場はどれくらい?
着物買取専門業者大手のスピード出張買取バイセル(元・スピード買取.jp)と福ちゃん・宅配買取専門業者の久屋が、公式サイト内で以下のように買取相場を発表しています。
ただし、東京友禅の買取は、その着物の種類や作家物かどうかでも違い、スピード出張買取バイセルの発表している友禅は、とくに作家名のない友禅の着物の買取相場になります。
そのため、他の買取業者で加賀友禅の買取相場は、作家物でない場合は、着物の種類の買取相場を参考にしてください。
【バイセル買取相場】
着物の種類 | 買取相場 |
---|---|
作家物(有名作家物/人間国宝など) | 3,000円~800,000円 |
留袖(色留袖/黒留袖) | 2,000円~200,000円 |
振袖 | 2,000円~500,000円 |
友禅(京友禅/加賀友禅/東京友禅/十日町友禅など) | 3,000円~500,000円 |
訪問着 | 2,000円~500,000円 |
付け下げ | 2,000円~200,000円 |
紬(大島紬/結城紬/黄八丈紬/塩沢紬/牛首紬など) | 1,000円~500,000円 |
小紋 | 1,000円~200,000円 |
色無地 | 1,000円~50,000円 |
帯の種類と和装小物 | 買取相場 |
---|---|
名古屋帯 | 500円~300,000円 |
袋帯 | 500円~300,000円 |
丸帯 | 1,000円~100,000円 |
半幅帯 | 500円~150,000円 |
和装小物 | 100円~50,000円 |
【福ちゃん買取相場】
高価買取対象 | 価格 | 高価買取対象 | 価格 |
---|---|---|---|
振り袖 | 10,000円~ | 訪問着 | 10,000円~ |
袋帯 | 8,000円~ | 紬 | 7,000円~ |
黒留袖 | 6,000円~ | 小紋 | 6,000円~ |
名古屋帯 | 6,000円~ | 人間国宝 | 30,000円~ |
伝統工芸 | 30,000円~ |
【久屋買取相場】
そもそも東京友禅って何?
東京友禅は江戸友禅ともいわれる、京友禅・加賀友禅に次ぐ三大友禅の1つで、名前のとおり、日本の首都東京で作られている友禅染の織物のことです。
東京友禅の発祥は、江戸時代中期、参勤交代で京から江戸に移る大名と一緒に、お抱えの染師も江戸の神田川や隅田川の水域に移り住んだことで、友禅染が広がったといわれています。
東京友禅の特徴
東京友禅の特徴は、京友禅や加賀友禅のように色鮮やかで華やかなものではなく、粋(いき)やわびさびを表現した、都会的でモダンな渋めの色調や図柄。
たとえば、長屋の風景や竹林・しゃれこうべなど、京友禅や加賀友禅では描かれないような町人の暮らしぶりが描かれることが多かったのです。
また、参勤交代で各藩の大名が江戸に集まってきていたこともあり、武家も多かったので、武家好みの千鳥や磯の松・葦(あし)・網干し・釣り船などの風景柄も多く描かれ、町人にも広がっていきました。
大奥や大名の奥方・お嬢様のあいだでは、御殿(ごてん)模様が好まれたので、京友禅や加賀友禅とは違う華やかさのある、色調や図柄のものもあります。
[左右:御殿模様]
東京友禅の特有の柄?江戸褄(えどづま)模様とは
江戸褄とは、着物の模様の置き方の1つで、褄下(つました)・立褄(たてづま)ともいわれる衿下の前身頃と衽(おくみ)の表裏に、斜めに模様を染め出した模様のこと。
衽の裾端の角を「褄(つま)」といい、衿下から褄にかけて斜めに模様が入っていて、左右対称になるのが特徴です。
もともと、江戸の大奥の女性が着物の一番上に引きずって羽織っていたものの裾に描かれていたことで、江戸褄と呼ばれるようになり、今では留袖の柄の配置に多いので、江戸褄模様の留袖を江戸褄とも呼ばれるようになりました。
[左:褄の位置][右:江戸褄模様の配置]
[左:江戸褄模様 黒留袖][右:江戸褄模様 色留袖]
東京友禅の着物にはどんな種類がある?
東京友禅の着物は染め着物になるので、正装になる黒留袖や振袖をはじめ、色留袖・訪問着・付下げなど、正式な場に着ていける格の高い着物がほとんどです。
しかし、東京友禅の小紋や、染帯・名古屋帯などもあり、正式な場面では着れませんが、観劇や気軽なパーティーなどに着ることができるものもあります。
ただし、小紋でも江戸小紋の東京友禅染めの着物の場合、紋を入れれば正式な場にも着ていくことができます。
東京友禅の有名作家
友禅染の着物を売る時に、買取額に影響することもあるのが「作家物」の着物ですが、東京友禅の作家のなかにも、人間国宝といわれる作家や伝統工芸士などの有名な作家もいて、高く買取してもらえることもあります。
【東京友禅の有名作家】
・中村勝間(なかむらかつま)・・・・・人間国宝 1894年~1982年
・山田貢(やまだみつぎ)・・・・・・・人間国宝 1912年~2002年
・熊谷好博子(くまがやこうはくし)・・日本工芸会正会員 1917年~1985年
など
[中村勝馬(なかむらかつま)]
中村勝馬は人間国宝に認定されている作家で、伝統的な友禅の技術を基に、品格のある色調で近代的で優雅な作風が特徴。
とくに黒留袖に定評があり、左右非対称の図案や叩き糊など、新しい技法を積極的に取り入れる作家で、署名や落款が一般的でなかった友禅の世界にいち早く取り入れたことでも知られています。
[中村勝馬(なかむらかつま)]
[山田貢(やまだみつぎ)]
人間国宝・中村勝馬に師事した作家で、山田貢も人間国宝に認定されています。
山田貢の作品は、糸目友禅の線の構成が独特で、力強い構図とは対照的な緻密さと繊細さを兼ね備えた、上品な色使いが特徴です。
[熊谷好博子(くまがやこうはくし)]
熊谷好博子は、東京友禅の世界では名だたる作家で、1955年~1975年(昭和30年~50年)にかけて活躍し、紺綬褒章・紫綬褒章・勲四等瑞宝章を受賞しています。
熊谷好博子の名前は、若い頃に日本画を学んだ川端龍子から受けた雅号で、作品にも日本画の技術が活かされていて、日本画的な雰囲気を残しながらも写実的な構図が多いのが特徴です。
後年は、天然自然の造形というコンセプトをかかげ、伝統的な友禅技法に樹木の杢目(もくめ)や葉、石の表面などを表現し、多色を用いずモノトーンをベースにシックな色使いの作品も多く手がけていた作家です。
老舗の作る東京友禅も人気が高い
安永年間(1772年~1781年)に大幸という名で、太物(綿や麻織物)の呉服店の創業から始まった『大羊居』は、老舗中の老舗といえ、東の横綱ともいわれる、今でもとても人気のある染繍(せんしゅう)の名門です。
[左:大羊居 訪問着][右:大羊居 振袖]
[大羊居 落款]
東京友禅の技法は手描きが基本
東京友禅は、京都から移り住んだ京友禅の染師から継承されたので、江戸で伝わったときには、京都と同じく分業制で染色していました。
しかし、時が流れ、第二次世界大戦の東京大空襲で、東京が壊滅的な被害にあい、分業が成り立たなくなったために、作家が全行程をこなすようになり、手描きのものだけになったのです。
東京友禅の技法は2つ!
東京友禅の技法は大きく分けて2つです。
1,防染糊にゴムを使用する方法
2,防染糊に真糊と呼ばれる餅粉を炊いたものを使用する方法
防染糊とは、隣り合う色が混ざらないようにしたり、色をつけたくないところに着色防止のために使う糊のこと。
[左:糸目友禅の防染糊置き][右:染色後]
糊のおかげで、違う色で隣り合っている図柄の色が混ざってないのがわかりますか?
輪郭をはっきりさせるためにとても重要な工程なのです。
ゴムの糸目友禅の最大の特徴は、扱いやすいこと。
熱を加えて染料の浸透を良くすることで、早く乾燥させつつ彩色できるので、早く仕上がります。
しかし、防染力は弱いのでさまざまな助剤を加えなければいけないため、助剤を洗い流す時にわずかですが染料も流れてしまいます。
そのため、仕上がりは、絵際はシャープでクールな味わいになるのですが、意図した色よりも軽い感じになり、質感が乏しくなってしまうのです。
真糊の場合は、餅粉を炊き上げなければならず、天候(とくに湿度)に左右されやすいので、品質管理が大変です。
また、糊を乾燥させるには、自然乾燥が必須のため、手間も時間もかかります。
ですが、真糊の最大の特徴は、防染力が高いということ。
防染力が高く、自然乾燥で仕上げる真糊の友禅は、挿した色とほぼ同じ色合いで仕上がり、やわらかい絵際になるので、温かい質感の味わい深い仕上がりになります。
同じ糸目友禅でも、ゴムと真糊では仕上がりが違うので、本友禅といわれているものは、手間はかかりますが、作家の意図する仕上がりになる、2の真糊を防染糊に使って仕上げているのです。
東京友禅の見分け方
東京友禅は、京友禅や加賀友禅と比べると、落ち着いた色使いで、華やかさよりも江戸の粋を表した柄が多いので、比較的わかりやすいですが、京友禅から発達した友禅染のため、金・銀箔や刺繍をほどこすこともあり、見分けがつかないこともあります。
東京友禅の見分け方で、一番わかりやすいのが、証紙です。
東京友禅の証紙は、東京染織卸商業協同組合が、発行・管理・検品を行っています。
[東京友禅 証紙]
東京友禅の証紙を貼るには、品質基準を満たしていなければならず、品質基準を満たしたものにだけ、技法によって違う証紙が貼られているのです。
【東京友禅の品質基準】
1,制作にかかる主たる工程が東京圏内で行われていること
2,一部・全部にかかわらず、国外で加工が行われていないこと
3, 東京染織卸商業協同組合の組合員によって企画制作されていること
4,糸目糊・防染糊を使用し、全て手加工により染色された製品であること
5,前項4を主たる加工方法として、複合的に他の染色技術を用いて制作された製品も対象とすることができる
6,原則として和装品が貼付対象ですが、東京染織卸商業協同組合の承認を受けた染色品に限り、洋装品・インテリア用品等も対象とすることができる
7,素材は、国産・外国産にかかわらず原則として絹織物ですが、東京染織卸商業協同組合が認めた場合(麻・綿などを素材とした友禅染)はこの限りではない
この7つの基準の全項目に該当するものにのみ、証紙が貼られます。
[生地に貼られた状態の証紙]
東京友禅の着物を高く売るポイント
東京友禅の着物は、買取してもらいやすいですが、ちょっとしたコツで、買取額がUPすることもあるので、そのポイントを紹介します。
作家物の東京友禅は高く売れる
東京友禅は、基本的に全行程を一人で行うので、有名・無名にかかわらず作家物がほとんどです。
そのなかでも、人間国宝や伝統工芸士に認定されている作家、人気の高い作家の着物は、高額で買取してもらえることもあるので、入っている落款によっては、買取額がUPすることもあります。
東京友禅の証紙があれば高く売れる?
東京友禅は、基本的に作家が一人で全行程を行っているので作家物といえば作家物ですが、作家によっては落款を入れていない人もいます。
しかし、東京友禅は経済産業大臣認定の伝統的工芸品でもあるので、落款が入っていない無名の着物でも、高く買取してもらえることもあります。
その場合、重要なのが「証紙」です。
証紙は、東京染織卸商業協同組合が東京友禅だと承認したものにしか貼られないので、産地だけではなく東京友禅だという証明にもなるので、あると買取額がUPすることも・・・
証紙は、着物を仕立てた時に出るハギレに貼ってあるので、剥がさずにハギレごと見てもらいましょう。
真糊本糸目友禅なら買取額UP?
友禅の重要な技法に、防染糊を生地におく作業がありますが、その時に真糊を使って染め上げた友禅染は、希少価値が高く、高く買取してもらえることもあります。
真糊を置く技法は手間がかかり、品質の管理も難しいので、今ではゴムの糊を使っている所がほとんどなのです。
真糊本糸目かどうかは、証紙があればわかるので、証紙を添えて査定してもらうことをおすすめします。
箱があると買取額がUPする?
着物の反物や帯は、高価なものだと箱に入っていることが多く、作家物の場合、箱にも名前が入っていたりするので、箱があると高く買取してもらえることもあります。
[熊谷好博子 桐箱]
東京友禅を売るなら着物買取専門業者に任せるのが一番!
着物を売る方法はいくつかあると思いますが、[着物を売る方法]
1,リサイクルショップに持っていく
2,オークションやフリマアプリで売る
3,着物買取専門業者に売る
上記の3つの方法のいずれかで売る人が多いと思います。
この中で、最もおすすめできるのが着物買取専門業者の利用です。
リサイクルショップ
そもそも着物の買取をしているところが少なく、買取してもらえたとしても、専門の査定士がいません。
そのため、着物の価値に関係なく買取されることがほとんどで、反物の場合は生地として買取られるので、1キロ100円や150円といった重さで買取額が決まるため、損をすることもあります。
オークションやフリマアプリ
スマホで簡単に登録することができるので、撮影した着物をアップロードするだけで、家に居ながらにして着物を売ることができるので便利です。
しかし、一見手軽で簡単そうですが、購入希望者の質問への対応や送付などの手間がかかります。
また、ある程度着物の知識がないとトラブルになることも・・・
着物買取専門業者
専門の査定士がきちんと価値を判断して査定してくれるので、納得して売ることができます。
万が一、金額に納得がいかない場合も、キャンセルすることができ、手数料も一切かからないので安心です。
買取方法も「出張買取」「宅配買取」「持込買取」の3つあり、自分にあった方法で依頼することが可能。
出張買取や宅配買取なら、持ち運ぶ必要もないので、家にいながらにして着物を売ることができるので便利です。
数社の着物買取専門業者に査定してもらうといい
着物買取専門業者とは、着物に関するものを専門に買取をして、独自に持っている販売先に売るといった、洋服でいう古着屋のようなものです。着物買取専門業者は、とてもたくさんあり、買取業者によって買取した着物の販路はさまざまなので、欲しい着物も違い、買取額も違います。
同じ着物でも、高く買取してもらえるところもあれば、低い金額にしかならないこともあるので、数社に依頼して納得のいく買取業者で売ることをおすすめします。
たとえば、東京友禅の黒留袖を3社に査定してもらった場合、A社は5万円・B社は3万円・C社は15,000円ということもあるということ。
たしかに、何度も対応するのは面倒かもしれませんが、作家物の場合は金額がもっと大きく変わることもあります。
買取業者の査定費用は一切かからないので、大事にしてきた着物を安く買い叩かれないためにも、複数の買取業者に見てもらいましょう。
まとめ
東京友禅は三大友禅の1つで、京友禅や加賀友禅に負けず劣らず人気の高い友禅染です。
関西の方では、京友禅や加賀友禅のほうが馴染み深いかもしれませんが、江戸の粋を感じるモダンな東京友禅を好む人も多く、高く買取してもらえることもあります。
しかし、きちんと価値を判断してもらえるところで売らないと、高く買取してもらえるどころか、損をすることもあるのです。
そうならないように、着物買取専門業者を上手に利用し、納得して着物を売るといいですね。
着物買取業者選びに迷ったらどうすればいい?
着物買取業者がたくさんありすぎて、どこを選べばいいのか迷ってしまうことがあるはず。
「着物売るガイド!」では、着物買取業者を徹底比較して特徴などを分かりやすくまとめたものを、ランキング形式で掲載しています。
着物買取業者選びに迷った時は、ぜひ一度チェックしてみてください!